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Columnコラム

スポーツナビ 共同通信社 2005/12/06
ヤンキースの松井秀喜が語る飛躍への体と心
体力が技術を助ける “A・ロッド”を参考に

 ピンストライプのユニホームで頂点を目指し続ける。4年総額5200万ドル(約63億円)の大型契約でヤンキースに残留した松井秀喜外野手が、ニューヨークで来季の抱負を語った。
 11月16日、再契約した直後の会見で目標を問われると「毎日一番いい状態でグラウンドに立つ。毎試合、それを4年間続けられたらいい」と即答した。

――全試合出るのは簡単なことではないが

「それができればいいものが出せる。当たり前のことでもあるけど、一番難しいことでもある。30歳を超えて、これから体力的にどう変わってくるのか。すごく大きな鍵になる。技術面も大切だけど、それ以上に体力面を大切にすることが、技術の助けになる」
 練習法や体調管理について「いつまでも“日本の野球”を続けない方がいい」と基本的にチームの方針に従ってきた。

――何か変化は

「メンテナンスの大切さはより感じる。あまりマッサージも受けなかったけど、これからは考えないといけない。整体の先生に日本から来てもらっても、期間が限定されるので、定期的にもっといろんなことをやらなくてはいけない。こちらにいる人にもサポートしてもらわなくては、と考えている」
 日本時代は並ぶ者のない鉄人と言われたが、大リーグでは自分よりもタフな選手に圧倒されることもある。たとえば、同僚のアレックス・ロドリゲス内野手は全試合出場で打率3割2分1厘、48本塁打を記録した。

――“A・ロッド”のすごさは

「体力的にはちょっと飛び抜けている。彼のすごさはそこでしょう。もちろん技術的にも素晴らしいんだろうけど、年間通じて体力的に非常に高いところを維持している。素質もあるが、練習量が豊富で、なおかつあれだけ元気というのは、すごい。普段の生活のリズムだとか、メンテナンスだとか、確かに興味がある。その辺をちょっと聞いてみたい」
 今回結んだ契約が終わる2009年秋には35歳になっている。

――そこから「もう一勝負できる」と言うのは

「僕の中では35歳はそう。35歳だから落ちてくる時期だ、というふうにはとらえていない。今以上の状態を保っていれば、そこでまた勝負できる、と思っている」

同時に3割30本100打点 左方向への意識を持つ

 初の打率3割を記録したシーズンだった。安打数、塁打、打点でも自己最多。だが、本塁打は前年から8本減った。米大リーグ、ヤンキースの松井秀喜外野手は4年目の打撃をどう見据えているのか。

――数字上の違い(7厘)は大きくないが

「違いはある。(3割は)打者にとっては一つの区切りになる。経験できたという意味ではすごく大きい。僕にとって良かったのは、最後までチームがギリギリの戦いを続けていたこと。だからこそ、最後まで3割という目標を感じない戦いができて、ああいうふうに超えていったのだと思う」
 日本では本塁打、打点のタイトルを手にし、9年目に首位打者を取ってから、三冠王狙いを公言した。大リーグでは1年目に100打点、2年目に30本塁打、3年目に3割を達成。

――次にくる目標は

「すべての部門で、今までの最高以上のものを出したい。(3割、30本、100打点)すべてを経験した。これを1シーズンで出せるようになればいい」

――昨年は左への長打を意識したが、今年はそうは見えなかった

「そういう意識はもう持たなくても大丈夫だな、と思ってしまった。でも、再認識させられた。やっぱり、大きいのを打つには(左への)意識は持っていないと難しい。来年へのテーマにする。外に逃げていくボールの方が、内に入ってくるボールより多いわけだから、レフトに強い打球を打つ意識を持てるようになればいい」
 日本で最後の4シーズン打率が上がり続け、50本塁打につながった。

――大リーグで3年連続打率上昇はいい兆候だ

 「そういうふうに思っている。いろんなことが分かってきたし、吸収できてきた。それで率が上がってきていると思うし、いい兆候だと思う。当たり前といえば、当たり前。率が伴わないで本塁打が増えるとは考えていない。二つはリンクしているもの。どちらかが上がって、どちらかが下がるのでなく、どちらも上がっていくものと考えている」