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Columnコラム

スポーツナビ 梅田香子 2004/08/28
Wシリーズで実現!? 松井秀vs大塚の第2ラウンド
梅田香子の『松井秀喜 メジャー交友録 2004』 VOL.12
ポストシーズンの再対決を意識!?

「ワイルドカードなんて考えていないですよ。さっきもみんなでミーティングをして、絶対に地区優勝を狙う、オレたちはそういう位置につけているんだからと話し合ったところです」
 確実にアウトを取ってくれるセットアップマンとして、すでにその地位を確立した大塚晶則投手はそう語った。もう10年ぐらいサンディエゴ・パドレスに在籍しているかのように、すっかりとチームにも溶け込んでいる。

「また対決することもあるでしょう」
 松井秀喜と大塚は5月に交流戦で対決した直後、別々なクラブハウスで同じセリフを口にした。お互いリーグが違うのだから、当然ポストシーズンでの再対決が脳裏をよぎったのだろう。

 あの頃、松井秀をはじめ多くの日本人大リーガーたちが、
「オールスターなんて意識していません」
 一歩ひいた控えめな姿勢を貫いていた。が、4月から好調を維持していた大塚だけは、
「オールスターに出たいな~。夢ですから。もうバリバリに狙っていますよ。どうしたらいいんでしょうね?」
 とはっきりと願望を口にしていた。

「プレッシャーがかかる場面が好き」な大塚

 常日頃から「プレッシャーがかかる場面が好き」と自負している大塚は、逆境にはめっぽう強い。
「オールスターは、ピッチャーの場合は運が左右するから難しいです。ともかくジョー・トーレ監督のいるヤンキースをぴしゃりと抑えることなのでは? 特に松井秀喜を絶対に抑えてアピールしないと」
 そう筆者が進言したら、
「やっぱりそうですか。これはもうやるっきゃありませんね」
 6月12日(日本時間)、3点リードした8回、初めてヤンキー・スタジアムのマウンドに立ったときも、まったく臆した様子はなかった。バーニー・ウィリアムズ、アレックス・ロドリゲス、ジェイソン・ジアンビーを三者凡退に打ち取ったので、いわば大塚への「ご褒美」だったのだろう。

「彼もきっとマツイと対戦したかっただろうからね」
 とパドレスのボウチ監督が粋な計らいをみせ、9回表にパドレスが大量得点したことも手伝って、大塚は9回も投げた。ぽんぽんと2アウトをとった後、いよいよ打席は松井秀。内角への直球と外角へのスライダーでカウントを追い込み、最後は94マイル(151キロ)の速球でセンターフライに打ち取った。

ガルシアパーラも無視? バッターとは仲良くしない?

 松井秀は試合後、
「日本で対戦したことはないんじゃないかな? 速球がカット気味にきますね。次は打てるように頑張ります」
 とクビをかしげていたが、それを伝え聞いた大塚はガクガクっと、
「オールスターで1回対戦していますよ。僕が松井のバットを折って、ピッチャーゴロに打ち取ったから、よく覚えています」

 松井秀は松井秀のほうでやや胸を張り、
「でも、覚えていますか? あのオールスターでは最後、僕はMVPを取ったんですよ」

 翌日の試合前、2人はにこやかにあいさつをかわしたが、大塚のほうはバッターとはあまり親しく話し込まない主義だ。
「仲良くなるとやっぱり打たれますから。そういうところは、プロに入ってすぐ久保(康生)コーチにもそういうアドバイスをもらったし。イチローともこの前のシアトル戦(6月26日から28日)の試合前、ブルペンで目が合ったからこうやって(帽子のフチに手をやる)あいさつだけ。昨日もジェイ・ペイトンに誘われて、食事に行ったら、ガルシアパーラが来ちゃって。少しは話しましたけど、あまり話さないようにしていました。ペイトンと大学が一緒でルームメイトだったそうです。」

もともと野茂投手が憧れ

 大塚はもともと野茂投手に憧れていたそうだが、何かアドバイスはもらえたのだろうか。
「野茂さん、カッコいい。でも、アドバイスは全然くれません(笑)。一緒にウェイトトレする機会もありましたが、やっぱりあまり多くを語らない人です。”信じるのは自分おまえ一人だけだからな」とは言ってくれました。「やらなくちゃいけないのは自分だからな”とも。でも、長谷川さんはもっといろいろ話してくれましたよ」

 こういう話を聞くと、やはりどうしても日本人同士の対決が楽しみでならない。ワールドシリーズで是が非でも、大塚vs松井秀の第2ラウンドを見たいものだ。