Matsui's Space 松井秀喜ファンサイト

Columnコラム

講師の心.com 広岡勲 2009/07/28
「不動心の理由」Vol. 3 『負けず嫌い』
このコラムを書くにあたっては、担当編集者の意見も大いに参考にしている。ある時、その担当から、「実はああ見えても、松井秀喜選手は『負けず嫌い』であるに違いない。それをテーマに」とのリクエストがあった。それならば、「今回はそのテーマで」と書き出したまではよかったのだが、一向に筆が進まない。

なぜなら、これだけ長い付き合いがあるにもかかわらず、彼の"負けず嫌い"ぶりを示すエピソードがあまり見つからないのだ。いや、ふと思いついたとしても、どれもこれもプロならごくごく普通のことなのかもしれない。そう思うと、ますます筆が進まなくなる。

例えば、『素振りの話』がある。巨人時代のファンはご存知だろうが、彼は、試合で打てなかった日には、東京よみうりランド内のジャイアンツ寮で黙々と何時間も納得がいくまで素振りを繰り返していた。そのおかげで寮の201号室の畳は擦り切れて、ボロボロになった。畳を換えてもキリがないので仕舞いにはそのままにされた。置き換えれば、そういう行為を"負けず嫌い"と言えるのかもしれない。しかし、きっと松井選手はこう言うだろう。「オレは"負けず嫌い"で素振りをしているのではなく、打てないからやっているんだ」と。

私のような凡人から見れば大したものだと感心させられるようなことでも、松井選手にとっては当たり前のことでしかない。だがこれらには、「本業においては」という注釈がつく。

ここはひとつ本業以外での話をさせてもらうことにしよう。

これも巨人時代の話である。当時ジャイアンツ寮の地下室には卓球台が置いてあった。「身体の大きな野球選手」と「卓球」。私にはこの組み合わせがどうにもミスマッチのような気がしてならなかった。「運動神経のいい松井が相手でも、卓球なら勝てるだろう」。ちらっとでも考えたのが私の失敗だった。

まずはラケット。「松井なら力強さで攻めてくるのだろう。恐らく小技は使わない」と、わざわざ攻撃型のペンハンド型を差し出すと、いや「オレは、これで」と自ら選んだのは万能型のシェイクハンド型だった。

そしてフェイク。これはなかなか高度な技で、サーブのインパクト(ラケットにボールが当たる瞬間)後に即座に上下左右のどちらかにラケットを振り動かす、いわゆる"小細工"戦法。彼は私との勝負が互角になりつつあると、決まってこのフェイクを仕掛けてきた。サーブを打った瞬間にラケットが上を向いているので、本能的に上回転のボールが飛んでくると身構えても、そこはフェイク(だまし)サーブだ。思いっきり下に向かって叩きつけられる。次はだまされてなるものかと気を引き締めていると、今度はラケットの向きどおりの素直なサーブを打ってくる。そして忘れた頃に、またフェイクをしかけてくる。どこで卓球の腕を磨いたのかは知らないが、悔しいかな見事なまでに翻弄してくれた。思わず私は「その執着心を本業にも」と喉まで言葉が出て、ぐっと呑み込んだのを昨日のことのように覚えている。なんてたって、こっちは遊びのつもりで始めた卓球だったのに、天性の運動神経をこめてフェイクを連発してきたのだから。

だが、何も"負けず嫌い"は卓球だけではない。草野球でもそうだ。遠征移動中の『大貧民(トランプ)』でもそうだ。自分が負けて終わることは彼の美学が許さない。勝つためには、たとえ遊びでも真剣勝負なのである。ものすごく知恵を絞ってくる。ハイテクニックでも果敢に試してくる。そして、いつの間にかそれらを自分の技として平然と使いこなしているのだ。

...と、ここまで書いて気がついた。そう、「卓球」でも「草野球」でも「トランプ遊び」でも、すべて平然とプレーしながら勝利をもぎ取ってくる。ギラギラと全身で闘志を表すことはないが、心の中では常に炎が燃えさかっている。

もしかすると、この"松井スタイル"は、本業のバッターボックスで培われたものなのかもしれない。心の内を読み取られないよう平然とバットを構えながらも、その実、虎視眈々と投手のスキを狙っている。私など足元にも及ばないくらいに、役者が一枚も二枚も上手の男なのだろう。
スポーツナビ 杉浦大介 2009/07/21
松井秀、久々の殊勲打 「真夏の夜のサヨナラ劇」
好調続くチームの流れに松井も追い付く

 会心の打球を右中間スタンドに飛ばす直前まで、松井秀喜の最後の打席から「ヒーローの予感」は感じられなかった。
 ここ2試合は無安打で、今夜(現地時間20日のオリオールズ戦)も四球を選んだ後は2打席凡退。そして9回裏1死から回ってきた第4打席も、5球目までは相手投手に主導権を握られる苦しい流れだった。

「(5球目まで)甘い球はなかったと思います。最後の1球だけ甘く入って来ましたけど」

 本人もそう振り返った厳しい打席の中で、6球目にようやく巡ってきた絶好球。真ん中のストレートを見逃さずにとらえると、美しい弾道のライナーがニューヨークの空に消えていった。

 ライト方向に「安っぽい本塁打」が量産されると評判の新ヤンキー・スタジアムだが、この打球なら誰にも文句は言わせない。本塁付近にできた輪の中に松井が笑顔で飛び込んで、「真夏の夜のサヨナラ劇」は完遂した。

 松井自身としては、2003年以来6年ぶり2度目のサヨナラ弾。しかし個人の歴史よりも、今はまず優勝を狙うチームの中の1人として語るべきなのだろう。
 今季のヤンキースはこれで早くも9度目のサヨナラ勝ち(そのうちサヨナラ本塁打は4本)だが、松井が絡んだのは初めて。劇的なシーンが続出するチームの流れにようやく追い付いた意味は大きい。そして後半戦4試合はすべて5番を任され、一昨日(18日タイガース戦)のアレックス・ロドリゲス、昨日(19日タイガース戦)のマーク・テシェイラに続き試合を決める一発を放った意味はさらに大きい。

レッドソックスに並び、首位に立ったヤンキース

「(松井は)あの場面で打つ方法を知っている」

 ジョー・ジラルディ監督は試合後にそんな賛辞を松井に送ったが、しかし実際には勝利を決める活躍など随分と久々にも思える。
 存在感がやや薄れていた中、ついに飛び出した起死回生の殊勲打でチームの4連勝に大きく貢献。ヤンキースはこれでとうとうレッドソックスをとらえ、20日の時点でア・リーグ東地区首位タイとなった。

 先発投手が試合をつくり、中継ぎが踏ん張り、守護神マリアーノ・リベラにつなぐ。打線は得意の一発攻勢で、適所で必要なだけ点を取る。シーズンが進むにつれ、ヤンキースの勝利の方程式は徐々に確立されている感がある。

「チームの状態としてはいいと思います」

 松井もそう認めた通り、特にオールスター後は絶好調。まだ強豪相手に力を証明したわけではないが、祝福のパイが頻繁に飛び交う現在の好ムードを保てれば、今後の戦いに向けて期待は膨らむ。そしてそんな上昇気流の波に、松井も遅ればせながら乗り込んだのだろうか。

 スリリングな勝負が続くであろう後半戦――。ヤンキースについに火がついて、ニューヨークの夏がさらに熱くなる予感が漂い始めている。
草野仁の日々是精仁 2009/07/16
松井秀喜選手レポート in NY (4)
二ューヨークで松井秀喜選手について取材をしているときに興味深い話を聞きました。ニューヨーク・ヤンキースの往年の名選手や現在のスーパースターたちが登場する子供向けのアニメ映画「ヘンリー&ミー」という作品が制作されていて、松井選手も本人役で登場し、(勿論実写ではないので声の出演になります。)2月にアテレコが終わっているというのです。

その制作会社を訪ねてみますと、原作者、プロデューサー、監督をはじめ主な関係者が私たちを丁重に出迎えてくれました。丁度全員で打ち合わせをしているところで、日本のテレビ取材者たちが自分たちの仕事に注目してくれて来てくれたのがとても嬉しかったと皆さんが口を揃えて言っていました。見るからに知的で論理構成の達者な感じの人、芸術性豊かでそれでいてユーモアを忘れぬ人など色々なタイプの人が集まって構成されたこのグループは話をすればするほど魅力的な存在の人たちであることに気が付きました。

原作者のレイ・ネグロンさんはヤンキースタジアムでバットボーイを勤めた経験があるそうです。つまり一番近いところから多くの大リ-ガーを見ていて、色々なイメージを持っている人でもあります。物語はそのレイ少年とジョージ・スタインブレナー(ヤンキースオーナー)が歴史に残る名選手たちを球場に呼び集め、時間を超えて最後の記念試合を行うというストーリーになっています。(ヤンキースタジアムが去年で85年の歴史に幕を閉じ、新球場に移るというタイミングで考えられたお話だそうです。)

そして数多いるスター選手の中で最後にあっと驚く大活躍をするのが 何と松井秀喜選手だというのです。レイさんに「なぜ、ジーター選手やA・ロッド選手ではなくて松井選手なのですか」と尋ねるとすかさずレイさんが答えました。「子供達の眼から見て一番人間として尊敬できるのは松井秀喜選手だからです。勿論我々大人から見てもそうですがね。」

この言葉には泣けましたね。長い長い歴史を持つ大リーグに飛び込んできて7年目。手首の骨折も両膝の故障も乗り越えて懸命にヤンキースのために頑張っている松井選手の姿をしっかり正しく評価してくれている人たちがいる、そのことに私は感動しました。思えば去年フロリダ・タンパのキャンプのときにもある女性ファンがこう言いました。「松井秀喜は本当に素晴らしい選手です。左手首を骨折したときに彼はヤンキースファンに向かってこのようなことで心配や迷惑をかけてしまい申し訳ありませんと謝罪したのですよ。怪我をしてファンに向かって謝罪したのは松井選手が初めてです。彼は本当に凄い人なのよ」と。

日本人大リーガーはこれからも沢山誕生することでしょうが、プレーだけでなく人間性についてこれほど敬意をもって受け止められる人は今後も中々出てこないだろうなとふと思ったものです。このような選手を目の当たりにできる私たちはとても幸運です。

後は後半戦の彼の「爆発」を期待するだけです。
MATSUI55.TV 2009/07/15
全くかすりも
はい、皆さんこんにちわ、松井秀喜です。

こちらはいよいよ後半戦というところに入ってきております。
オールスターは、今年はセントルイス。
まあ、ナショナルリーグの球場ということで、松井秀喜全くかすりもしておりません(笑)。
もちろん、その以前に前半戦の成績自体で全くかすりもしておりません。
後半戦はこれからヤンキース、大事な戦いが続きます。
前半戦はあまりチームの力になれなかったですから、
後半戦、これから大事なところでその分も取り返すぐらいの活躍をしていきたいと思っております。

これから本当に山場をむかえますので、松井秀喜の活躍に皆さん期待して下さい。
頑張ります。
草野仁の日々是精仁 2009/07/13
松井秀喜選手レポート in NY (3)
二ューヨ―クリポートを続けます。

コネチカット州在住の熱烈なヤンキースファンの取材の後、近くに千葉ロッテ・マーリンズ監督のボビー・バレンタインさんの経営するレストランがあるということを聞きつけ、立ち寄って見ることにしました。お店の名前は「ボビー・バレンタインズ・スポーツ・ギャラリー・カフェ」。ごく普通のレストランのような入口から店内に入ると、意外に奥行きのある構造でテーブル席、カウンターなどグル―プで楽しめそうな感じのお店で、正にスポーツバーそのものです。座って少し上を見上げると隙間なく設置されている多くのモニター上では色々なスポーツの実況映像が楽しめるようになっています。

お食事に関しては人気メニューの一つがハンバーガーで、ボビーさんがこれまで在籍した球団の名前が種類ごとに付けられていて7~8種類もありました。私は「メッツ」を注文しましたがカラッと焼きあがっていて中々良い味でした。

午後7時を過ぎた頃からお客さんがどっと詰めかけてきて気が付いた時には店内は満員になっていました。丁度放送されていたメッツ対ヤンキース戦に注目が集まり、勿論ボビーさんが監督を務めたことがあるメッツファンが多く店内に陣取り、メッツの選手が打てば大歓声が湧きヤンキースの選手が好プレーを見せればブーイングといった感じです。でも基本的にはそれを肴に楽しく語らうというのがアメリカ人の楽しみ方なのですね。

さてハンバーガーやホットドッグを2日ほど食べ続けた後、松井選手も良く訪ねるという東52丁目155番地にある「レストラン日本」にスタッフを伴って訪れました。私がこのお店を訪ねるのは3年ぶりです。オーナーの倉岡伸欣(のぶよし)さんは慶応義塾大学出身で学生時代は剣道部の選手として活躍された方なのですが、同窓生たちが赴任先の二ューヨークで食生活に苦労しているという話を聞き、ならば皆の窮状を何とか救ってあげようと一念発起して開いたのがこのお店になります。オープンが1963年だといいますから既に46年の歴史を持つ日本料理店です。日本で食べる日本食に負けないものを食べて貰おうというのが倉岡さんのそもそもの思いなので食材選びが入念です。より良きものを求めて世界中の食材をチェックして歩き、日本国内については1~2ヶ月に1度は帰国して食材選びを怠ることなく続けています。故橋本龍太郎元首相が二ューヨークを訪れたときには特別に「レストラン日本」で会食をすることを優先したという逸話が残っているほど要人にも高い評価を受けているレストランです。

倉岡さんの発想の原点はリラックスして日本食を楽しんでもらいたいということですから、高級志向に走らず、メニューの中には松井秀喜選手のお母さまが作るものと同じレシピのカレーがあり、これがまたとても美味しいのです。松井選手に対してはヤンキース入団以来お店を上げて応援していますが、2006年左手首を骨折して病院に運ばれた松井選手のもとに真っ先にお弁当を作って届けたのが倉岡さんで、松井選手もあの時は本当に助かりましたと語っていました。

さて私たちは倉岡さんが心を込めて組み合わせて下さったコース料理を頂きましたが、一品一品が素晴らしく「今まで食べた海外での日本食の中で最高だった」「食事をしながらここが二ューヨ―クだということをすっかり忘れてしまっていた」など、全員から同じ賛辞が寄せられました。これも倉岡さんが最高の持て成しをしようと志して真のプロフェッショナルとしてお仕事を続けていらっしゃるからだと思います。何方にもお勧めできる最高の日本食レストランだと私は考えています。
MATSUI55.TV 2009/07/13
暖かくなってきますし
はい、皆さんこんにちわ、松井秀喜です。

ようやくペナントレースも前半戦が終わりそうなところまで来ております。
前半戦は、まあ色々ありまして、ヤンキースタジアムが新しくなったり、色々変化はありましたが、
松井秀喜、左膝の手術明け、あまりスタートダッシュとはいかずに、
皆さんを心配させてしまったんじゃないかな、と思っております。
膝の方は良かったり悪かったり、と言う感じですが、徐々に良くなってきてますし、
途中、右の太ももを痛めたり、なんだかんだと足にケガがまだ残っている感じですが、
これからは暖かくなってきますし、体調の方も問題なくなってくると思います。

これからしっかりいきますので、また応援して下さい。
頑張ります。
MATSUI55.TV 2009/07/10
不本意に終わった前半戦
はい、皆さんこんにちわ、松井秀喜です。
皆さんお元気でしょうか?

ただいまですね、こちらはインターリーグが終わって、僕自身代打だけの出場9試合でしたが、
しっかり休養をとりながら、また普段のリーグに戻って
DHで毎日これからは(おそらく)出してもらえると思います。
前半戦あまりいいところがなかったのですが、
その分もしっかり取り返していって皆さんにいいバッティングをお見せしたいと思います。

これからは暑くなります。
暑い夏は大好きなので頑張ります!!
草野仁の日々是精仁 2009/07/09
松井秀喜選手レポート in NY (2)
今シーズン、ヤンキースのジラルディ監督は直接松井秀喜選手に膝の状態や本人の意向を確認した上で試合への起用を決めていると伝えられていますが、松井選手本人がもう守備にもつけますよと言っている割には試合への起用が少なく、特にナショナルリーグとの交流戦が続いた6月はスターティングメンバーから外されせいぜい1打席限りの代打起用という形が続きました。

勿論松井選手自身、それまでの段階で有無を言わせぬ活躍ができていればそんなことは無かった筈ですが、調子がやや下降気味のところで交流戦に突入したことが不運といえば不運だったかも知れません。その上、殆どのバッターがそうですが、やはり一試合のうちに3~4打席チャンスが与えられて初めて結果が出せるのが普通であり、松井選手も完全にそのタイプの選手なのです。ですから理想は先発メンバーとしての出場を期待するのです。その点において、ジラルディ監督の采配には不満が残るものでした。松井選手本人にこうした起用方法についてお話を聞いてみましたが、「監督が試合に勝つ為に組んだメンバーに入れなかったのは自分自身の責任です。アピール力が足りなかった自分の方に問題があったと思いますので不満はありません」と何処までも自己規律心の強さを感じさせる答えでした。最も心配されていた左膝は「勿論昔のように完璧とはいかないけれど、自分自身で細かくチェックしながらやっているので大丈夫です」という嬉しい答えが返ってきました。

松井選手としては、当然のようにヤンキースとの契約最終年にあたるので自分の存在感を示すような仕事をしなければならないし、必ずして見せるという思いを強く持っていることが、話の端々というより話の全体を通して私にもしっかりと伝わって来ました。これほどの決意の強さを松井選手が見せてくれたのは初めてのことです。この感じであるなら良い結果を残してくれそうだと思えました。

事実スタメンで起用された30日のマリナーズ戦では勝利に繋がる右中間突破の2塁打を打ちました。翌日はスタメンから外されましたが、7月2日からは快打連発。7日現在7月に入って18打数9安打打率5割ホームラン3本の大活躍です。私はジラルディ監督に「松井選手は殊の外夏に強い、だから彼にもっとチャンスを与えてくれれば良い働きをしてくれますよ」と言ったのですが、彼は「それは自分でも分かるけれど、まあ大体普通どの選手も夏は調子を上げるものだよ」と分かったような分からないようなコメントが返って来ました。ジラルディ監督は対戦相手が左投手だと松井選手をスタメンから外すケースが多いのですが、松井選手の大リーグでの通算打率は右投手に対して.293、左投手に対し.291なのです。これを見ても左投手を決して苦にしていないことが明らかなので、左投手云々はあまり説得力を持ちません。今季のホームランも右投手から5本、そして左投手から8本打っており、むしろコンスタントに打っていることが分かる筈なのです。今後適正な形で起用してくれれば必ずや良い結果が出るものと確信した今回の取材でした。
草野仁の日々是精仁 2009/07/08
松井秀喜選手レポート in NY (1)
去る6月27日から7月2日まで、3年ぶりに二ューヨークに取材に行って来ました。テレビ東京そしてBS JAPANで今月26日にオンエアされる番組のロケです。

昨年お蔭様で大好評を得た「松井秀喜X草野仁 ゴジラの真実2008」はその後リピート放送という形でBSでは何度もオンエアされました。今回はいわばその続編ということで、左膝の手術を経験しヤンキースとの最終契約年に奮闘する松井選手の素顔を紹介しようと取材に赴くことになったのです。

ニューヨークに到着早々先ずヤンキースの大ファンで色々なグッズを集めているコネチカット州在住のダグさん一家を訪ねて話を聞きました。ダグさんは心から野球を愛する人で、歴史上の偉大な選手の写真やグッズは勿論のこと、こんなものがあったのかと思われるような珍しい品までとても幅広いコレクションを持っていました。愛犬には何と往年の名選手ヨギ・ベラにちなんで「ヨギ」と名付け、大学のサマースクールで講師として働いて得た特別収入をヤンキースの年間予約席の購入に当て大事な試合には妻子も連れて応援に行くという模範的なヤンキースファンでした。野球のプレーだけでなくグラウンドで歴史を築いてきた多くの野球人に敬意を抱きその伝統を保ち続けようと考えているダグさんのような人たちにニューヨーク・ヤンキースは支えられているのだということを強く感じた次第です。

旧ヤンキースタジアムは85年の歴史に幕を降ろして役目を終え、今年からはそのすぐ近くに全く同じ意匠同じ規模で造られた新ヤンキースタジアムがヤンキースのホームグラウンドとして使われています。今回広報担当の広岡勲さんに試合前に新球場を案内して頂きました。基本的には旧球場と大きな違いは無いそうですが、一つだけ異なるところは昔の球場の方が歓声の反響が大きくこだまするように感じられるということです。グラウンドに立つ選手の間でも「新球場は歓声が拡散して外に逃げて行くような感じで少し物足りない」という声も出ているそうです。

色々な意見がありますが、今年は同じ二ューヨ―クを本拠地とするニューヨーク・メッツも新しく造られたシティ・フィールドを使うようになりましたので2009年は二ューヨークに2つの新球場が生まれた年として大リーグの歴史に残ることは間違いありません。そう言えば、シティ・フィールドの方はシェイ・スタジアム同様相変わらずラガーディア空港の発着便のエンジン音が絶え間なく響き渡っていました。