MATSUI55.TV
2009/09/29
優勝に向けて一気に
皆さんこんにちわ、松井秀喜です。
皆さん、いかがお過ごしでしょうか?
日本はもうそろそろ夏も終わり、秋が近づいてきている頃と思います。
私松井秀喜、並びにヤンキースはですね、
今年は非常にいいシーズンを送っていてですね、まぁ、僕は微妙ですけど・・・。
ヤンキースは3年ぶりの地区優勝に向けてまっしぐらです。
僕自身もですね、夏場から徐々に調子が出始めてですね、
今現在も9月に入って、まあまあいい状態かな、という感じです。
残り試合もですね、あと十何試合になってきましたし、優勝に向けて一気に走っていきたいところです。
僕もですね、残り試合でしっかりいい結果を出して、いい数字を残してプレーオフに突入したいと思います。
それではまた!
スポーツナビ 畑中久司
2009/09/08
ヤンキース、地区優勝へカウントダウン体制 2年ぶりシャンパン・ファイトのXデーは?
松井「え?もうマジック出てるの?」
アメリカンリーグ東地区の首位に立つヤンキースが、地区優勝へのマジックを「30」とした翌日の8月28日(現地時間)、クラブハウスでユニホームに着替える松井秀喜に聞いた。
マジックに対する選手の意識とは――。
見る側にとっては、チームがどの位置にいるかの目安として役に立つ数字ではある。シーズンが終盤に入るとマジックがどこで点灯するかを計算するのもメディアの仕事の一部だといっていい。
一方で毎日、試合を消化していく当事者としてはどう考えているのか。
「この時期にはあんまり考えたことはないなあ。あと何勝かで優勝とかいう状況になれば、周りの雰囲気が自然と変わってくるのはある。ただ自分から逆算してプレーすることはないよね」
マジック点灯には頓着しない様子の松井。ポーズではなく本心だと感じたのは、こう聞いたときだ。
マジックいくつでゴールが近いと感じるのか。実際「30」になっているが――。
「え? もうマジック出てるの? ホント? 知らなかった」
……。
その日のホワイトソックス戦で両リーグ80勝一番乗りを挙げたヤンキースは、9月6日のブルージェイズ戦終了までの10試合で8勝2敗と大きく星を伸ばす。地区2位レッドソックスとの差は6ゲームから、7.5ゲームに広がった。レッドソックスも着実に貯金を増やしてはいるが、ヤンキースのペースには及ばない。マジックは一気に11も減って「19」になった。
松井が挙げた“ゴールが近いと感じる”具体的な数字は「5」。「残り45試合で5、6ゲーム差くらいなら(追い付かれるときは)あっという間だよ」と話すように、常に気を緩められないという自戒の意味もあったとみる。ただ、衰えないペースを前にすれば、いまやセーフティーゾーンに入っていると誰もが感じているだろう。
「松井を中軸から動かす必要はまったくない」と監督
星勘定にこれだけ余裕があれば、起用法にも余裕が出てくる。8月25日から16日間で17試合を戦う過密日程でも、選手に負担をかけず、休養を取りながら出場させられるのはヤンキースにとって大きなプラス材料だ。「とにかくケガをしないで乗り切らなきゃいけない」と話す松井自身にも同じ事がいえる。
実際、松井は5番に定着した上でスタメンを外れることはあるとはいえ、ロドリゲスが休養する際には4番を任されており、好不調の波がある中でも信頼感を得ている。フェンウェイ・パークの3試合(8月21日〜23日)で4本塁打した後、デレック・ジーターが「松井は自分が今一番気に入っている選手」と言えば、ジョー・ジラルディ監督も「中軸から動かす必要はまったくない」と話した。
公式戦が残り1カ月を切り、ポストシーズンを見据えた戦いに移行していく中で、何としても避けたいのがアクシデント。最近ではマリアーノ・リベラが左足の付け根を痛めたが幸い軽症だった。シーズン全体を見渡しても、レギュラー戦力とみられながら長期離脱したのは、当初のアレックス・ロドリゲス以外ではゼイビアー・ネイディーくらいか。1年間ほぼ同じメンバーで戦うことで生まれたチームとしての長期的なリズムが崩れなければ、10月の戦いには自然に入れるはずだ。もちろん、戦術的な“引き出し”が多いほど公式戦以上に有利になるポストシーズンで、ヤンキースが勝ち進んでいけるかどうかはまた別問題ではあるが。
9月7日以降の残り25試合で、どこが地区優勝の“Xデー”になるかは気になるところ。最速は17日。ヤンキースの勝ちペースがレッドソックスを上回る場合(ゲーム差が開く展開)なら18日からのシアトル、アナハイム遠征中になる。1日ひとつずつ減っていく計算なら、25日から始まるレッドソックスとの直接対決の初戦――。
本拠地で宿敵相手に決める。盛り上がりという点では、これがベストシナリオか。
こんな机上の空論を言えばきりがないし、おそらく松井は苦笑いするだろう。ただ、2年ぶりのシャンパンファイトは確実に近づいている。それだけは間違いない。
講師の心.com 広岡勲
2009/09/01
「不動心の理由」Vol. 4 『壁を乗り越える力-(1)』
早いもので今年のレギュラーシーズンも残すところ2か月となった。ヤンキースは8月30日時点(日本時間)で81勝をあげ、同じアメリカン・リーグ東地区 2位のレッドソックスに6勝の差をつけている。だが、これから先レッドソックスが巻き返してくる可能性も大いにあり、まだまだ安心は出来ない。そもそも、このア・リーグ東地区は大変な激戦区で、現在のところヤンキースの81勝はメジャー全チームの中でトップの勝ち星ではあるが、2位とはいえレッドソックスの75勝も他地区では首位に躍り出るほどの戦績なのである。どちらのチームが勝ち残ってもおかしくないレベルで戦っている。使い古された言い方だが、勝負というものは本当に終わってみるまでわからない。
だが、そのような状況下で、毎度毎度われわれ球団スタッフや選手が勝負の行方に一喜一憂しているかというと案外そうでもないのである。前述したように、勝負は最終章を迎えるまで予測はつかないが、かといって漠然とした感覚的なものや、希望的観測だけで勝負の行方を論ずることはない。経験値のみが未来を見据える指針となる。もちろん、何が起こるかわからないのは勝負の常であるし、逆にそれがあるからこそ刺激的でもあり、怖くもある。今シーズンがまさにそうだ。今後、松井選手の左ひざに何が起こるのか、あの左ひざを抱えながらも彼は何を起こすのか。大変刺激的で、かつ怖い毎日を私は送っている。
昨シーズン、終了を待たずに左ひざの内視鏡手術をするかどうかでひと悶着あった。彼は、結局ギリギリのところで手術延期の道を選び、旧ヤンキースタジアムでの最後の試合までふんばった。その決断に賛否両論はあったが、今となってみれば彼の決断は間違っていなかったと言ってもいいだろう。今現在の活躍ぶりを見ていると、彼には何か期するものがあったのだろうと感じるのだ。経験値がもたらす何らかの確信があったのだろうと思うのだ。
そもそも松井選手は多くを語らない男である。あのときなぜ手術を回避したのか。延期によるリスクを恐れなかったのか。今もって、彼のみぞ知る、である。彼は、大きな分岐点を前にしても普段と変わらず淡々としながら、最終的には自分自身で決断を下す。この姿勢は巨人時代から変わっていない。我が身の来し方行く末を人任せにはしない。それには、性格的なものや育った環境ももちろん由来しているだろう。だが、何よりも野球人として生きていく覚悟、不退転の決意が大きく関係していると思う。プロスポーツの世界では身体管理、特に手術などの重大な事柄は選手個人が自分の都合や考えを優先できるものではない。いくつものセクションで多くの人が動き、計画を立て、決議に至る。そんなことは松井選手もじゅうぶんにわかっていた。それでも急遽、延期を申し出、チーム首脳も了承してくれた。ならば、もうあとは、やるしかない。ギリギリのところに自らを追い込んで、彼は自分自身の勝負に出た。それは、これまでの彼の野球人生の中で最も大きい勝負だったかもしれない。何が彼をそうさせたのか・・・。
8月、松井選手は好調な打撃をキープすることができた。左ひざにたまる水を抜きながら、である。大きな身体的ストレスを背負ったままシーズンをこなすことへの折り合いをどこでつけているのだろうか。そのあたりが「壁を乗り越える力」のカギになるかもしれない。その考察は来月までの課題とさせていただこうと思う。