Matsui's Space 松井秀喜ファンサイト

Columnコラム

草野仁の日々是精仁 2012/09/13
石川県へ・・・
今週初めテレビ番組のロケで石川県に行きました。普段から親しくしている松井秀喜選手のべースボールミュージアムを初めて訪れてみました。

小松空港に程近い能美市にその立派な建物はあります。広い駐車場がありバスで観光客も多く来ていました。今シーズンは途中でレイズとの契約を打ち切られ、アメリカで来季に備え練習とトレー二ングに明け暮れる毎日を送っている松井選手なので、ひょっとしてお客さんも少ないのかなと想像していたのですがそんなことは全くなく、多くの来場者がいてファンの皆さんの温かさを強く感じました。

館内に入ると松井選手のお父様昌雄さんにお出迎え頂きました。昌雄さんとはニューヨークでお会いして以来6年ぶりのことですが、昔からとても親しくしていたかのように打ち解けあってお話しができました。心優しい方であることは存じ上げておりましたが、物腰柔らかでとても丁寧に対応してくださってとても感激しました。また、展示物の量も質も大変豊かでここまでの松井秀喜選手の歩みをじっくり楽しむことができます。

翌日は昔から親しくさせて頂いている今九谷焼の陶芸家中村元風さんのお宅に伺いました。このところ中国で大変高い評価を受けている中村さんのアトリエに入らせて頂き、製作中のとても変わった作品を見せて頂きました。また絵付けの手ほどきを受けトライしてみるなどといった一幕もあります。詳しくは22日オンエアの朝日放送「朝だ!生です旅サラダ」で明らかになります。
NHKスポーツオンライン 高橋洋一郎 2012/09/10
沈黙 ~松井秀喜~
9月中旬。
メジャーのシーズンもいよいよ3週間と少し、各チームとも20余試合を残すところとなった。
日々の試合で順位が入れ替わるような激戦地区もあれば、すでにほぼプレーオフ進出を射程圏内におさめ、シーズン残りの試合をその「準備」へと切り替えつつあるチームもある。
今シーズンからワイルドカード枠が一つ増えプレーオフで戦う事ができるのは計10チーム、その10の中に入ろうとこれからも各地で熱戦が続く。
まだまだいくつものドラマを期待させるような、熱い残り3週間であることは間違いなさそうだ。
そんな「熱さ」とは無縁、ユニフォームを着ることさえなく、独り沈黙のなかで9月を過ごしている野球選手がいる。
松井秀喜選手だ。

ニューヨークはすっかり秋である。
街を渡る風にはひんやりとした心地のいい冷気が混じり、道行く人たちの出で立ちには、袖がつき始める。
クリスピーな空気に街の輪郭はくっきりと浮かび、鮮やかな色彩に包まれ、立ち上がる。
ニューヨークが最も美しい季節だ。
そんな街で、松井秀喜選手はメジャー10年目の『残りのシーズン』を、ユニフォームを着ることなく過ごしている。
「まだ今後のことは何も決めていない。」
7月25日にタンパベイ・レイズを戦力外となった当初、この言葉だけを残して公の場から姿を消した。
獲得に手を挙げるチームもないまま9月に入り、秋の声とともに今季は事実上終了となってしまった。
「まだ何も決めていない。逆に今はまだ決める必要がないから。」
言葉のニュアンスだけが変わった。

プロ20年目、いやこれまでの野球人生において初めてとなる、シーズン中にもかかわらずシーズンオフとなってしまった自らの憂き目とはどのようなものなのだろうか?
悔しさ、敗北感、焦り、終末感……
ただこれまでの彼がそうであったように、そのような感情を直接表に出すことはない。
「仕方が無い。今はゆっくり休むだけ。」
とこれまでと何も変わらない、いつもの松井選手がいるだけだ。

引退?
「その可能性もゼロではないよ。」
しかしそう言う言葉には、その意味自体とは不釣り合いな力がこもっている。
まるで「それはないね!」とでも言わんばかりに。
すでに前を見据えている。
それがゆえに、そしてそこにたどり着くために、今はゆっくりと休む事だけしか考えていない。
ニューヨークに戻ってから一月以上経った。
すでにバットを振らなくなって久しい。
身体は動かしているがジムでの簡単なトレーニングのみ、今は“野球”そのものをしていない。
もうしばらくは、この状態を続けるという。
野球をしない野球選手。
とりあえず今は…
「元気ですか?」の問いに、「元気だよ!」と、元気な答えが返ってくる。
そのうちまた、“野球”をやり始めるはずだ。
もしかしたら、誰も知らなかった仕方で。
その姿が待ち遠しい。