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Columnコラム

NHKスポーツオンライン 石田大輔 2010/02/09
西海岸が活気づく!イチローvs.松井秀喜
“アメリカ在中、日本人ベースボールメディア“という職種があるとすれば、この発祥地は間違いなく西海岸であった。
1995年、日本を、全米を熱狂させた野茂英雄がロサンゼルスでデビューし、2001年にはシアトルで、イチローが新人王、MVP、首位打者、盗塁王のタイトルを獲得しただけでなく、数えきれないほどの記録を打ち立て、メジャーリーグの歴史を塗り替えた。
日本へのメジャーリーグ報道の中心、それはいつも西海岸だった。

ところがこの図式は、2003年に松井秀喜がヤンキースへ入団したときから大きく変化を見せ出す。
そして、07年に、松坂大輔がレッドソックスへ入ると、主導権は完全に東海岸へと移った。

イチローが記録を打ち立て続け、いくら西側で頑張ってもマリナーズは低迷期を脱することができない。
その一方で、メジャーを代表するヤンキースとレッドソックスが宿敵と呼ばれるに相応しい覇権争いを続ける。
新参球団レイズの躍進を岩村が支えたこともあり、報道は東海岸中心。
西海岸在中の日本人メディアにとっては、底冷えの時代が続いていた。

しかし、松井秀喜のエンジェルス移籍に伴い、今年は久しぶりに西海岸が活気づいている。
マリナーズが積極的な補強を展開したこともあり、ア・リーグ西部地区は、エンジェルスとマリナーズの一騎打ちを予想する米メディアも多い。

もちろん日本では、イチローと松井のふたりはスーパースター。
少し年齢を重ねて来たものの、直接覇権を争うふたりの初めての戦いは、今季一番の売りと言っていいだろう。

早くも始まった、こんな周囲のけん騒を楽しむかのように、1月の日本での自主トレ中にイチローがこう発言したという。
「本当にイチローvs.松井となるように、ブルペンに入って仕上げていきたい」
実にイチローらしい茶目っ気のあるコメントであると思ったが、以前にも“直接対決”が実現寸前までいったことを覚えていらっしゃる方も多いであろう。

1996年、オールスター第2戦。
9回表2死、オールセントラルの打者、松井秀喜を迎えると、オールパシッフィクの将、仰木彬(故人)はイチローをマウンドへと送り、イチローは野球少年のように、喜々としてマウンドに向かった。
一方、セントラルの将、野村克也はウエイティングサークル内で松井に意向を打診、松井が乗り気ではないことを察すると、代打に高津臣吾を送り(結果はショートゴロ)、この夢対決は幻に終わった。

今から思いおこしてみても、この時のふたりの対応は、彼らの性格を実によく現していると思うが、イチローの約15年ぶりの再戦要求をマリナーズのワカマツ監督は、1月28日のシアトルでの会見で「それは絶対にしない」と語った。
何も今から完全否定をしなくても…、ちょっと寂しい気がした。

さて、2002年のワールチチャンピオンに始まり、現在も3年連続で地区を制しているエンジェルスだが、今季は昨季までのエースのラッキー、トップバッターのフィギンズ、4番のゲレーロをFAで失った。
エースとリードオフ、そして4番を失ったことから戦力ダウンを心配する声も多いが、先発のウイーバー、カズミア、ソーンダース、サンタナの4本柱は、それぞれが二ケタ勝利を計算できる上に、年齢も26歳から28歳とこれからが全盛期の投手ばかり。
この力のある投手たちをソーシア監督が配球面で操るのだから、ラッキーの穴は何とか埋まるだろう。

4番に関しては、昨季ゲレーロの残した数字と松井秀喜の数字を比較すれば、一目瞭然。
出塁率、長打率と共に松井秀喜が上回り、OPS(出塁率と長打率を足した値)は松井が.876ゲレーロが.794。
すべてにおいて、松井秀喜がゲレーロを上回っているのだから、何の心配もない。

対するマリナーズは、サイヤング賞左腕リーの加入、エンジェルスからのフィギンズ獲得とビッグネームの加入は、間違いなくチーム力をアップさせた。
このオフの補強では、“勝ち組”の代表格として評価出来る。
傑出したイチローというプレーヤーをようやく生かすことの出来るチーム力になったと表現すればいいだろうか。
久しぶりに楽しみなチームになった。

97勝65敗と85勝77敗。これが昨季のエンジェルスとマリナーズの差である。
白星にして12個。どれだけ差が埋まったのだろうか。
そして、イチローと松井秀喜。本塁を自らが踏む打者と本塁へ走者をかえす打者。
役回りの違うふたりの仕事ぶりに注目しつつ、両チームの覇権争いを期待したい。
草野仁の日々是精仁 2010/02/05
松井選手、心から応援しています
帰国中の松井秀喜選手、広岡勲広報と久し振りに食事をしながら語り合うことができました。

先ず松井ファンの皆さんにお知らせしたいのは、松井選手はトレ―二ングも十分積んで体が引き締まり、血色も良く表情に輝きがありました。今年に懸ける意気込みは私たちファンの想像以上のものがあるのではないかと思います。「ランニングはかなりやっているんですよね」と私が聞きますと、「だいぶ良い感じで走れるようになりました。まだ100%の全力疾走というところまでは行ってないのですが、この感じなら守備にもつけると思います」と嬉しい答えが返ってきました。すると彼の横から広岡さんが「その言葉は初めて聞いたね。良いね」とまた彼も嬉しそうに合いの手を入れてくれました。松井選手の話から推測すると、この状態のままシーズンに入ることができたら全ての試合で守備につくことができるかどうかは別にして、エンゼルス首脳陣の期待にはかなり応える活躍ができるのではないでしょうか。

ここ数年、左手首の骨折に始まり、右膝の手術、左膝の手術と苦労を強いられましたが、強靭な精神力でそれを乗り越えてワールドシリーズのMVPを獲得した松井選手の次なる思いはエンゼルスで世界一になることだといって良いでしょう。長いワールドシリーズの歴史上2年連続のMVPはいないそうです。(2回MVPに輝いた選手も3人しかいないそうですが)従ってもし今年もMVPになれたとしたら松井ファンにとってこんなに嬉しいことはありません。ここまで不可能と思えることを可能にしてきた彼のことですからやってくれそうな気がしてきます。

ところで、去年のワールドシリーズでの最も大きなター二ングポイントは、松井選手が第2戦でフィリーズのペドロ・マルティネス投手からライトに放ったホームランだったと言っても過言ではありません。マルティネスの低めに落ちるカーブを松井選手がぐっと踏ん張って、落ちてきた球を掬うようにスウィングするとボールはライトスタンドに運ばれていきました。打たれるはずはないと思っていた球を打たれたマルティネス投手のショックは大きく、結局第6戦でもまた松井選手に痛打を浴びることに繋がっていったのです。

「あの第2戦のホームランはカーブを予測していたのですか」と私は尋ねたのですが、「いえ、追い込まれていましたから予測はしていませんでした。ただその前の打席でカーブを打ってライト前にヒットを放っていましたので、カーブの曲がりの軌跡は目に焼き付いていました。その状況でストライクゾーンに来たから「よし」とバットが出てホームランになったのですが、後でビデオを見直してみると低めの完全なボール球でしたね」と苦笑しながら語ってくれました。このようなことを正直に語ってくれる松井選手が私は大好きです。